哺乳動物の骨や筋肉は、四つんばいで這うのに都合良くできています。人類が直立の生活をするようになって、最も影響を受けたのは腰で、人間の約7割が、一生に一度は何らかの腰の痛みを訴えるといわれるほどです。
しかし、原因が分かるのは3割程度に過ぎず腰痛診断の厄介な点です。腰が痛いといっても必ずしもそこが悪くなかったり、レントゲンで異常が見つかっても、必ずしもそこが痛みを起こしているのではないことがあるのです。
原因のわかったものは・・・
原因を除く治療をします。手術などを行いますが、手術をしなければならないのは、腰痛全体の1%以下です。
原因の分からないものは・・・
まず3週間は保存療法(手術をしない治療)を行います。牽引、温熱療法、薬物(消炎鎮痛剤、筋弛緩剤)などの療法があります。
原因がわからなくても・・・
腰痛は、よくいわれるほどには重いものは少なく、それほど長く続かないものです。原因が分からなくても、対症療法(症状のひとつひとつを軽減させる治療)で自然におさまってしまう事が多いのが腰痛の特徴でもあります。
しかし、腰痛が少しも良くなる傾向がなく、むしろだんだん強くなるようなときは、医師の精密診断を受けてください。
腹筋を鍛える
腹筋を鍛えることで背骨を安定させ、変な負担が加わらないようにします。
腰になるべく負担をかけず時々リラックス
後ろにそった腰椎を、時々前かがみにしてリラックスさせます。膝を曲げると割りに簡単です。
腰痛が起きたらともかく寝る
ぎっくり腰には安静が第一。楽な姿勢で寝、あわてることはありません。2〜3日して歩けるようになってから受診しましょう。
立っている時には、背筋を伸ばしているよりも、休めの姿勢のほうが腰は痛みません。
座るときは、低めの椅子にリラックスした姿勢で座ることが大切です。
車の運転は、座席を前に出し、膝が曲がる状態で行うと痛みが少ないです。
夜寝る時は、横に丸くなるか膝の下に大きなマクラを入れて寝るのがよく、特に背中の曲がったお年寄りは、マクラを背中まで入れて頭も高くすると楽になります。
椎間板ヘルニア
脊椎の椎体と椎体の間には椎間板という軟骨があり、これが後方へ飛び出して下肢へ向かう神経を圧迫するもので腰痛や下肢痛を起こします。
脊椎分離及びすべり症
脊椎が椎弓のところで分離し、不安定になって痛むもので成長期に激しいスポーツをしたりするとおきます。
脊椎管狭さく症
脊椎管が狭められているもので、骨の発育異常や老化、あるいは変形が原因で、広い意味では脊椎すべり症も含まれます。腰から下半身が痛み、歩くと痛みが増し、腰掛けて休むと良くなるのが特徴です。
変形性脊椎症
老化によって起きる骨や関節の変形のために発症し、脊椎管狭さく症となるものも含まれます。関節炎を起こしたり、神経を圧迫したりするので痛みが生じるわけです。
病気と治療の理解のために 山本 真 監修 (株)ライフ・サイエンス発行
わかりやすい 腰痛の治療 日本大学医学部整形外科腰痛教室グループ (株)エーザイ発行
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